2014-02-07

猫が好きだ

大きな犬を飼うこと。

それが僕たち夫婦の夢だった。
庭のある家が欲しくて、
いろんな物件を見たりもした。


ある日、妻が一匹の猫を連れて帰ってきた。
それがアンチョビ。
猫アレルギーのはずの僕が、
この子にはアレルギーが出なかった。

とても変な猫だった。

顔の広い友達を通じて、里親を探してもらっていた。
ガリガリに痩せてたけど、すごく甘えてきて可愛い。
あまりの可愛さに、うちの家族になってもらうことになった。

チョビの存在が、僕をネコ好きにした。
いや、前から好きではあったけど、
一緒に生活するところまで踏み込めなかった。
僕を変えた。


チョビと生活しだして1年近くなったころ、
妻がもう1匹家族が欲しいと言い出した。

出かけることが多いことから、
お留守番しているチョビが寂しくないようにと。

里親募集のサイトに登録をして、
しばらくして我が家の一員になってくれる子が決まった。

それが、おはぎ。

生後半年だったおはぎは、
チョビと比べると小さくて。

仲良くなるかも心配だったけど、
2人でいろいろ調べて、
2週間かけて少しずつ距離を縮めていき、
ビックリするくらい仲良くなってくれた。
まるで、ずっと家族だったかのように。


昨年いろいろと話をして、
妻の実家をリフォームして、一緒に暮らすことに決まった。

リフォームはすごく忙しい。
でも最近になって形ができてきて、嬉しい気持ちが勝ってきた。

『壁掛けの棚が欲しい!チョビとおはぎがそれに乗って上下運動もできるように!』

と妻が言う。

猫タワーはここに置く。
でも、ここだとカーテンレールに乗るよな。

カーテンレールはそこまで耐久性無いから乗ったらあかん。

じゃあどうすんの?!


そんな小さなケンカもしたり。

でも、そんな相談も楽しかったりする。


あー、また生活変わったら、
いろいろ悪さして叱らなあかんのやろなー。

でも、これからここで色んな思い出ができるな。


って思ってた。


そんな毎日が続いてた。



2014年2月4日

突然元気がなくなったおはぎ。
いつもは本当に無邪気で甘え上手な子。

避妊手術をして一週間たったところだった。

体力が落ちたしストレスもかけたから、風邪をひかせてしまった。
そう思い、朝から妻が通勤前に病院へ連れていってくれた。

熱が高く、貧血がひどい。
血液検査をするから、夕方まで病院で過ごす。

そう妻から連絡をもらい、それでグッタリしてたんかと自分の中で納得した。


夕方、仕事中に妻からケータイに一言だけ結果が連絡入っていた。

おはぎは白血病を発症していた。


気づいてすぐに電話をすると、妻は泣いて言葉にならない様子だった。

検査結果は悲惨なもので、すでに死んでいてもおかしくない数値だということ。
白血病の特効薬は無いということ。

先生からは

インターフェロンというステロイド注射もあるけど、
莫大な費用がかかるし、効果があるとは限らないから。

事実上の、手の施しようがないという宣告。

おはぎの命は、延命したとしてもあと1~2ヶ月という話をされたらしい。


僕が帰ったころにはすでに、おはぎは自分で動くことすらできなくて、
こたつの中でうつろな目をしてふせていた。

妻は泣き続けながらも、おはぎのためにいろいろと用意してくれていた。

流動食や紙おむつ、液状のサプリメント、消毒など、、、

少しでも栄養を取らないとダメだし、
白血球がなくなり抵抗力を無くしたおはぎには、
少しのウイルスや怪我すら命にかかわってしまう。


突然の宣告から、闘病生活が始まった。
おはぎは今日も頑張ってくれた。
明日もまた頑張ってほしい。


妻は言う。

1人でいると、いろいろと考えてしまう。
苦しそうなおはぎに無理やり流動食食べさせて、
薬飲ませて、サプリメントも飲ませて、、、
本当は早く楽になったほうがいいのかな?って。
辛くなる。
どうしたらいいか分からなくなる。


僕にも正直、何が正しいのかは分からない。
でも、正直な気持ちだけ返した。

俺は少しでも長く、おはぎと一緒に過ごしたい。
1日でも1秒でも長く。


おはぎの1番元気な姿も、1番辛い姿も、
嬉しいことも、先日の辛い話も、
全て直接受け止めてきたのは妻。
看病も、ほとんど妻がやってくれている。

僕は妻ほど器用じゃない。
流動食を食べさせるのも、薬を飲ませるのもヘタクソで、
結局はおはぎの負担にならないよう、妻が変わってくれて、
僕は補佐的なことしかできない。

そんな僕でも、家族の前で強がることはできる。

本当はとても辛いです。
でも、辛くて泣くことは後からでもできる。

僕は僕なりに、僕にしかできないことをやる。

おはぎを甘えさせること、声をかけること
精神的、体力的に弱った妻の支えになること

それは僕にしかできない。


妻、妻の子供たち、拾った猫、もらった猫、仕事も金も無かった僕

寄せ集めのような家族だけど、僕の大切な場所。


心の底から守りたいと思う。


明日も家族と過ごせますように。

こたつの中、グッタリなおはぎさん

頭だけひょっこり

食事?薬?サプリ?
何が効いたか分からないけど、
夜中、少しだけ元気だったおはぎ

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